8月12日に申請受付が締め切られた新gTLD(新しいトップレベルドメイン)プログラム「2026 Round」について、申請された文字列が公開されました。申請は全体で1,614件(本申請)、日本発は84件で、このうちブランドTLDは61件と、米国に次ぐ世界2位です。本記事では、ICANN(インターネットのドメイン名を管理する国際的な非営利組織)の公開データをもとに、全体・日本企業・ブランドTLD・AI関連の4つの視点で結果を整理し、ブランド保護の担当者が準備すべきことを解説します。新gTLD 2026 Roundとは:ICANNが実施する新しいドメイン末尾の申請ラウンド新gTLD 2026 Roundとは、ICANNが新しいトップレベルドメイン(TLD)を追加するために実施する申請ラウンドです。TLDとは、「.com」や「.jp」のように、ドメイン名の末尾にあたる部分を指します。ICANNは、このプログラムをドメインネームシステム(DNS)の拡大を可能にする取り組みと説明しています。2026 Roundの申請期間は、2026年4月30日から8月12日でした。新gTLD 2026 Roundの申請状況:本申請は全体で1,614件本申請は全体で1,614件で、すべてActive(有効)です。このうちブランドTLDは333件で、全体の20.6%を占めます。Activeとは、撤回(Withdrawn)などがされておらず、現在も進行・継続している申請を指します。ICANNが公開した申請リスト(2026年10月7日取得)を集計しました。本記事の数値は、置換文字列(Replacement String)を除いた「本申請」で集計しています。置換文字列とは、第一候補の文字列が認められない場合に備えて、同じ申請者が追加で出す代替文字列です。置換文字列は別に1,169件あり、一覧には本申請と合わせて2,783件が掲載されています。同じ文字列に複数社が申請しているため、本申請1,614件の文字列の種類は986です。本申請をタイプ別に仕分けると、次のとおりです。タイプ本申請割合(参考)置換文字列ブランドTLD333件20.6%12件コミュニティ16件1.0%1件一般1,265件78.4%1,156件合計1,614件100%1,169件ブランドTLD(自社の商号や商標をそのままドメインの末尾にするTLD)は、本申請の約2割です。ここではICANNの一覧で「TLD Type」がBrandとされた文字列を、ブランドTLDとして数えています。置換文字列は一般に偏っており(1,169件中1,156件)、ブランドTLDはほぼ本申請だけで数えられます。ブランドTLDを申請者の国別に見ると、上位は次のとおりです。米国:151件日本:61件中国:18件フランス、スウェーデン:各9件シンガポール、英国、スペイン:各8件日本企業の申請状況:本申請84件のうち約7割がブランドTLD日本発の本申請は84件で、全体の5.2%でした。件数は少数ですが、中身の約7割(72.6%)がブランドTLDという点が特徴です。区分本申請の件数日本発の本申請84件うちブランドTLD61件(72.6%)うちコミュニティ2件うち一般21件日本発の一般21件は、次の3社による申請です。XRegistry:14件XServer Cloud:5件Interlink Systems Innovation Institute:2件コミュニティの2件は、東映アニメーションの.animeと講談社の.mangaです。日本企業は、一般語の獲得競争にはほとんど参加せず、自社名の確保に集中している様子がうかがえます。日本企業が申請した文字列(申請文字列・申請者)の一覧は、PDFで公開しています。一覧PDFはこちらから:https://bit.ly/4yGrxL8 ブランドTLDの申請状況:日本は米国に次ぐ2位、業種は金融・製造・メディアが中心日本のブランドTLD申請は61件で、米国(151件)に次ぐ2位です。世界のブランドTLD333件の約18%を日本企業が占め、ブランド保護やなりすまし対策への関心の高さがうかがえます。日本発ブランドTLD61件の業種別の内訳は、次のとおりです(当社で業種を分類)。金融:12件(銀行5件、保険3件、証券・資産運用2件、カード・消費者金融等2件)工業・機械:7件放送・メディア・出版・広告・エンタメ:7件化学・素材:5件電機・精密機器、消費財、医療・医薬品、ITサービス・テクノロジー:各4件自動車:3件その他(消費者サービス、通信、エネルギー、商社、不動産、タイヤなど):合計11件 日本発ブランドTLD申請の業種別内訳を示す横棒グラフ。金融が12件で最も多く、次いで工業・機械と放送・メディア・出版・広告・エンタメが各7件、化学・素材が5件、電機・精密機器・消費財・医療・医薬品・ITサービスが各4件、自動車が3件、その他が11件で、合計61件の内訳が示されている。 日本発ブランドTLD申請の業種別内訳(新gTLD 2026 Round)金融、製造、メディアといった、歴史が長くブランドの信頼性が事業の基盤になる業種に集中しています。ブランドTLDは、利用者が正規サイトを見分けやすくなり、なりすましやフィッシングの対策にもなると期待されるため、こうした業種の関心が高いと考えられます。IT・スタートアップ系は少数にとどまります。AI関連の申請状況:海外勢が中心、日本発は確認できずAI関連の申請は海外勢が中心で、日本発のAI関連文字列は、今回のデータでは確認できませんでした(文字列から当社が判断した結果で、申請者の意図は未確認です)。AI関連の文字列は、AI企業によるブランドTLDと、複数社が競合する一般語・技術用語に分かれます。AI企業によるブランドTLDは次のとおりです。申請者文字列OpenAI.openai、.chatgpt、.oaiAnthropic.anthropic、.claudeGoogle.geminiMeta.llama、.metaaiMicrosoft.copilot複数社が競合する一般語・技術用語は、次のとおりです(本申請の申請社数)。.agent:13社(GoogleやOpenAIなど).api:10社.robot:9社.agi:7社.mcp、.robotics:各5社.gpt、.model、.machine、.intelligence:各3社.llm、.agentic:各2社一般語は、複数社が同じ文字列を求めており、調整に時間がかかる可能性があります。よくある質問Q. 新gTLD 2026 Roundとは何ですか?A. ICANNが新しいトップレベルドメインを追加するために実施する申請ラウンドです。申請期間は2026年4月30日から8月12日でした。Q. ブランドTLDとは何ですか?A. 自社の商号や商標をそのままドメイン名の末尾に使うTLDです(例:.gmoなど)。ICANNの申請リストでは、「TLD Type」がBrandとされた本申請が333件ありました。Q. 日本企業のブランドTLD申請は何件ですか?A. 61件で、米国の151件に次ぐ2位です。世界のブランドTLD333件の約18%を占めます。まとめ:企業が今から準備すべきこと2026 Roundでは、日本企業が世界のブランドTLD申請の約2割を占め、存在感を示す結果となりました。日本発の申請は、約7割がブランドTLDで、金融・製造・メディアに集中しています。AI関連は海外勢の領域でした。今後は、申請した企業は審査や異議申立てへの対応、申請していない企業は自社ブランド名と同じ文字列を他社が申請していないかの確認が、実務上の課題になります。ブランド保護の支援を行うGMOブランドセキュリティでは、新gTLDの動向を継続して確認しています。企業には、次の対応を推奨します。自社名・主要ブランド名と同じ、または類似した文字列が申請されていないかを確認する取引先や競合企業の申請状況を把握するブランドTLD取得後の運用方針(用途、体制、セキュリティ)を検討するセミナーのご案内今回の申請状況の詳細と、企業が準備すべきことを解説するセミナーを開催します。『全貌公開!ブランドTLD 2026 Round 〜最新情報と、これから企業が準備すべきこと〜』開催日時:10月13日(火)14:00〜15:00講師:GMOブランドセキュリティ株式会社 ブランドセキュリティ事業本部 本部長 網野 圭亮詳細・お申込み:https://brandsecurity.gmo/blog/2026/10/01/f-7qyl7igrzh/■ 参考資料出典元:ICANN|「New gTLD Program: 2026 Round Applications」|公開日の記載なし|https://newgtldprogram-aps.icann.org/applications(閲覧日:2026年10月8日)出典元:ICANN|「The New gTLD Program」|公開日の記載なし|https://newgtldprogram.icann.org/en(閲覧日:2026年10月8日)