近年、企業のブランド保護を取り巻く環境は大きく変化しています。生成AIの普及により、フィッシングサイトやなりすましサイトの作成コストは大幅に低下し、攻撃者がブランドを悪用する手段はますます巧妙化しています。一方で、新gTLD(新ジェネリックトップレベルドメイン)の登場やブランドTLDの申請機会など、企業が自らブランドを守るための選択肢も広がっています。こうした環境の変化に対応するためには、問題が発生してから対処するだけではなく、リスクを予測し、事前に備える「先回り」の視点が重要になっています。今回は、ブランド保護の観点から今押さえておきたい3つのテーマをご紹介します。① .pay サンライズ─一般登録開始前の最後の防衛ラインまず一つ目は、新たに登場した「.pay」に関する動向です。決済を連想させる文字列であることから、一般登録開始後は第三者による悪用リスクも懸念されています。.pay(ドットペイ)とは?「.pay」は、決済・支払いサービスに特化した新gTLD(分野別トップレベルドメイン)です。「〇〇〇(企業名やブランド名).pay」を公式の支払い導線として活用することで、消費者に「ここは公式の窓口である」という安心感を与え、安全な決済体験を提供できます。新gTLD「.pay」の優先登録期間(サンライズ) 期間は当初5月で終了予定でしたが、7月20日まで延長されました。今回の延長で一定の猶予は得られましたが、現時点で更なる延長の予定は発表されていません。TLD優先登録受付期間登録要件(優先)限定登録受付期間※1一般登録開始日登録要件(一般).pay2026-04-13~2026-07-20TMCHのSMDファイル保持者のみ2026-05-13~未定2027-08-08(仮)ー当社では事務処理の都合上、7月13日を当社受付締め切りとしております。※1 限定登録受付期間(Limited Registration Period): 優先登録(Sunrise)後、一般登録が始まる前の特別な登録期間のこと。近年は金融機関だけでなく、小売・流通・通信・プラットフォーマーなど幅広い業種が独自の決済アプリやポイントサービスを展開しており、「.pay」の関連性はもはや金融業界に限られません。決済を想起させる文字列だけに、一般登録(GA)開始後は第三者によるなりすましサイトやフィッシングのリスクが特に高まることが予想されます。TMCH(商標クリアリングハウス:Trademark Clearinghouse)に商標を登録済みのお客様は、そのままサンライズ申請が可能です。未登録のお客様も、TMCH登録からサポートいたします。GA開始後では「取得できない」「高額で買い戻す」といった事態になりかねませんのでお早めにご相談ください。② ブランドTLD─自社専用のブランド空間を確保する機会次に注目したいのが、ブランド保護をより根本的に実現する選択肢である「ブランドTLD」です。ブランドTLDとは?企業が自社のブランド名を「.貴社名」として独占利用できるトップレベルドメインです。公式サイトの信頼性向上や、なりすまし・フィッシング対策、ブランド価値の向上に活用されています。以前の記事(※2)でもお伝えしたとおり、ICANNの新gTLD第2ラウンドの申請受付は本年8月までです。次回のラウンドがいつ開かれるかは未定で、10年以上先になる可能性もあります。「.貴社名」という自社専用TLDは、マーケティング上の差別化(短く覚えやすいURL、キャンペーン専用ドメイン、信頼性の訴求)と、ブランド保護(なりすましドメインの根本的排除)を両立できる強力な資産です。今回の機会をどう活かすかは長期的なブランド戦略に直結します。検討中のお客様は、残り2か月での意思決定に向けて個別にご相談を承ります。※2【ドメイン運用戦略】「.貴社名」はブランド保護の新たな選択肢~企業専用のインターネット空間を構築する「ブランドTLD」とは~③ 生成AIがもたらすブランド悪用リスクの新局面一方で、防御すべき脅威も変化しています。特に生成AIの普及は、ブランド悪用のあり方を大きく変えつつあります。ChatGPTをはじめとする生成AIの普及により、フィッシングサイトやLP(ランディングページ)の作成コストが劇的に下がっています。流暢な日本語の文書、本物そっくりのデザイン、量産される類似ドメイン ─ これらが個人レベルでも数分で用意できる時代になりました。さらに、AIエージェントが自動でリンクをたどり情報を取得する場面が増えています。「AIに誤った類似ドメインを参照されること」自体がブランド毀損につながる新しいリスクも生じています。対策の基本は変わりません。重要TLDでの先回り取得、継続的なモニタリング、迅速なテイクダウン ─ この3点をAI時代に合わせて見直すタイミングです。まとめ今回ご紹介した3つのテーマは、それぞれ異なる話題に見えるかもしれません。しかし共通しているのは、「ブランド保護を事後対応ではなく事前対策として考える必要性」です。.payのような新たなドメイン空間への備え、ブランドTLDによる独自空間の確保、そして生成AI時代における監視・対策の強化――。ブランドを取り巻くリスクと機会が大きく変化する今だからこそ、自社にとって必要な対策を改めて見直すタイミングかもしれません。当社では、ドメイン戦略、ブランド保護、監視サービスなどを通じて、お客様企業のブランド価値を守るための支援を行っております。ご興味がございましたらお気軽にご相談ください。 |参考|・「.貴社名」申請・運用支援サービス・【速報】.pay(ドットペイ)サンライズ登録が7月20日まで延長・【ドメイン運用戦略】「.貴社名」はブランド保護の新たな選択肢~企業専用のインターネット空間を構築する「ブランドTLD」とは~ お問い合わせこちら